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2024年10月29日
日本金銭機械株式会社
(証券コード:6418)
日本金銭機械株式会社(本社:大阪市浪速区 代表取締役社長:上東洋次郎)は、2024年7月11日、12日に福井県で実施された※第57回日本整形外科学会骨・軟部腫瘍学術集会において、京都大学医学研究科運動器機能再建学講座の坂本昭夫特定准教授との共同研究成果を発表したことをお知らせいたします。
当社は京都大学医学研究科運動器機能再建学講座の坂本昭夫特定准教授と、AI技術を用いた骨腫瘍画像診断支援の開発に関する共同研究を進め、研究過程での成果として独自アルゴリズムを使用した条件付き敵対的生成ネットワーク(※cGAN:Conditional GAN)による前例のない高解像度、高品質な膝関節の単純X線レントゲン画像の生成を実現しました。
※通常のGAN(※1)では、ランダムノイズを入力としてデータセットに似た新しいデータを生成しますが、cGANでは、特定のラベルや条件を付与することで、その条件に基づいたデータを生成することが可能です。これにより、生成されるデータに制約をかけて、特定のカテゴリや特徴を持つ画像やデータを生成することができます。
※1.GAN(Generative Adversarial Networks):2つのニューラルネットワーク(※2)を競争させることで、新しいデータを生成する機械学習モデルです。一方のネットワーク(生成器)が新しいデータを生成し、もう一方のネットワーク(識別器)がそのデータが実際のデータか生成データかを識別します。この競争を通じて、生成器はより本物に近いデータを生成するように学習し、識別器はより精度高く偽物を見抜けるように学習します。最終的に、GANは実在するデータに非常に似た新しいデータを生成できるようになります。
※2.ニューラルネットワーク:脳の神経回路を模倣したコンピュータアルゴリズム
AIによる骨腫瘍画像診断の研究過程で、AIの学習データとしての正常、異常のラベル付けがなされた単純X線レントゲン画像が入手困難であるという課題が浮き彫りになったため、基礎研究として当社独自で開発したアルゴリズムを使用したcGANによる正常画像の生成を実現しました。
本研究では、生成画像が本物と遜色ないことを検証するため、6名の整形外科医により本物画像50枚、生成画像50枚の合計100枚に対しての真贋判定を実施し、医師による定量的な評価によって、当該生成画像の品質の高さを確認できました(図1、図2)。
図1:【結果(Results)】
正解率(Accuracy):52~58%
平 均(Average): 55.2%
※真偽の二者択一のため、合計精度が50%に近いほど区別ができていないことになります。
図2:【整形外科医が本物と判断した生成画像】
当社が生成した膝関節単純X線レントゲン画像を6名の整形外科医が本物と判断した画像
これにより本物の画像を利用する際の患者個人情報に関する倫理上の問題をクリアし、正常画像や集まりにくい症例画像の収集に関する課題を解決することが可能となります。
今後、この生成した単純X線レントゲン画像を学習データとした骨腫瘍画像診断AIの開発や、生成画像の利用方法の探索などを進めていく予定です(図3)。当社は、経営方針においてミッションとして掲げている貨幣処理機器分野で培った「コアテクノロジーを革新させ、新たな価値を創造し続ける」企業となるため、医療分野での貢献に向けた新しい取り組みに挑戦してまいります。
なお、本研究結果は、英文国際医学雑誌へ投稿準備中です。
図3:【本研究(cGAN)の応用】
・骨腫瘍のAI診断:正常、骨腫瘍の生成画像を診断AI開発の学習データとして利用
・教育目的:他関節(肩、肘など)含め、匿名性のある生成画像を教育目的として利用
・研究目的:正常および疾患(変形性関節症、関節リウマチ、骨粗しょう症など)の生成画像をAI開発や精度検証に利用
【日本金銭機械株式会社について】
当社は、カジノ業界での貨幣処理機器のパイオニアとして世界シェアNo.1を誇り、世界に認められた識鑑別技術を用いて、世界中の様々な市場をターゲットに貨幣処理機器、金融関係機器、パチンコ/パチスロ市場向け機器およびソリューションの開発・製造・販売を行っております。
貨幣処理機器分野で培った「コアテクノロジーを革新させ、新たな価値を創造し続ける」企業となるため、医療領域を始めとする様々な領域での貢献に向けた新しい取り組みに挑戦しています。
【京都大学医学研究科運動器機能再建学講座 坂本昭夫特定准教授について】
坂本昭夫 (さかもと あきお)
2023年 京都大学大学院医学研究科 運動器機能再建学 (特定准教授)
2016年 京都大学大学院医学研究科 整形外科(講師)
2012年 九州大学医学部附属病院 整形外科(助教)
2002年 NIH留学 (日本学術振興会 海外特別研究員)
2001年 九州大学医学部附属病院 整形外科(助手)
1994年 九州大学医学部卒業
骨軟部腫瘍の臨床に携わり、これまでに様々な臨床及び研究を実施してきました。また、画像診断の知識と経験を人工知能への応用に活かす可能性を模索しており、特に骨腫瘍の基本的な画像診断手法であるレントゲン画像に注目しています。
■IRに関するお問合せ先
日本金銭機械株式会社 経営企画本部 広報・IR担当
TEL :06-6643-8400
MAIL:ir@jcm-hq.co.jp